番外編 和(カン)

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††† ボクのなまえは、和(カン)。 いみは、いろいろある。 まるくまとまる いっしょにとけあう 成分の異なるものをうまく配合する などなど、らしい。 お母さんがつけてくれた。 ボクとお母さんは、ひさしぶりに日本へかえってきた。 そしてボクは、日本の“幼稚園”というところにいかなきゃだめで。 「……メンドクセぇな……」 って、つぶやいたら。 「言葉遣い! そんなところまで、お父さんに似なくていいのに……」 って、お母さんにいわれた。 ……お父さん、は。 白澤匠(シラサワタクミ)。 ボクは、『おやぢ』ってよぶ。 『親父』をひらがなで書きかけて、 『おやぢ』?『おやじ』? で、なやんでたら。 うしろから、そおっと、 のぞいてきた“おやぢ”に。 『ぶっ! ……くっ……くくっ……ははっ!』って。 わらわれて、バカにされたから。 ボクは、日本語をちゃんと、 “おじ”2人からきいて、おぼえて、 たくさんしってるのに。 おじの、マサムネとワタルは、 ボクを、こどもあつかいしない。
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