番外編 和(カン)

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げんきがへったお母さんだけど。 外国にいるおやぢと、パソコンのでんわで話すときは、 ちゃんと、わらう。 すこしだけ……おもしろくない。 でも、ボクのまえでだって、ちゃんとわらってくれるから。 ……がまんする。 幼稚園にくるへんなオッサンは、 先生がいるときには、いなくなる。 だけど、あるとき。 へんなオッサンは、女のひとといっしょにいた。 あれ? しょたこんでろりこんじゃねーの? (マサムネとワタルからおそわった) まぁ、 デンジャラスがへるならいーや。 いちおう、おやぢにほうこくする。 パソコンのでんわは、だいたいお母さんとかけるから、 お母さんがようじで、はなれたときをねらってみた。 「あのへんなオッサン、しょたこんでろりこんじゃなかったみたいだ」 『っ、カン! 6歳に不要な語彙が増えてるけど、またアイツらか!?』 「いまさら、べつにいーじゃねーか。ほうこくだよ。ほうこく」 『報告の内容が薄れるだろーが』 ふっ、と、 ふりかえったら。 お母さんがもどってくるところ。 「ちょっと、荒い言葉遣いが聞こえたのは気のせい?」 ボクとおやぢは、だまった。
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