最終楽章 #3

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新しい“家族”としての、 初めての夜。 匠が。 深い二重瞼に光を受けると、 陰影をつくるから。 キレイで魅入っていた。 「家族が……欲しかったんだ。自分が大切だと思えるだけじゃなくて、返ってくる温もりが欲しかった」 ゆっくりと、まばたきして、 匠の瞳は、私に向けられる。 だから。 私もゆっくりと、 匠の想いを肯定して、頷く。 「俺、さ……泣くコトができない不器用な女が、好きみたいだ」 「……あれは、感情の糸というか導火線に火が点いて、涙腺が……」 「それでいて俺のコトを、丁寧に丁寧に想うキモチを溢して、泣いてくれる姿がもっと好き。そんな、まどろっこしい女が大好きだ」
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