最終楽章 #3

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そういえば。 泣いたのも、久しぶりで、 前を覚えてないくらい。 「う、ん。恥ずかしいからヤメて」 改めて言われると、 泣いたコトを悔やみたくなる。 手術で髪を剃った右耳のまわりは、 上の長い髪で隠されていて。 それを暴かれたのと同じような、 心許ない気がしてしまう。 「だって、触れてしまえば落ち着くのに。触れるまで、胸に迫るだろ」 あー…… それは、ちょっとわかるかも 思わず。 肯定で、頷いていた。 「あ。私の夢、1つ見つけたよ」 勉強をして、いつか、 お世話になった施設で、働きたい。 家族をつくるお手伝いがしたい。
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