最終楽章 #3

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少しでも、歯車が狂わないような、 そんなお手伝いができたらと思う。 「お世話になったあの施設のオラトリウム(聖堂)で……政宗のオルゴール曲を、皆に聴かせてあげたい」 5歳の私が、 讃美歌に救いを見出だせたように。 政宗の力も借りて、 鎮められるモノがあるとイイ。 「――そっか。わかった」 その時も、傍にいる―― 匠は、そう囁いて、 抱きしめてくれた。 「でも今夜は、政宗なんか忘れるくらい……制圧、してやる」 艶やかな、声がして。 手術後からずっと、 労られていたカラダが持ち上がる。
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