赤い、桜

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そのうち、 もしかして死体の鮮度が 大切なのではないかと思い始めた。 いままでは死んで随分たった 死体ばかり埋めていた。 だからだめだったんじゃないかと。 その考えに至って以来、 俺は動物を殺して埋め始めた。 初めは小鳥から。 雀やなんかを殺す分には さほど罪悪感を抱かなかったが、 それが鳩になると多少後ろ暗くなった。 それに鳥は飛んで逃げるもんだから、 やりにくい。 それでも俺は人気のない町外れの山で、 鳥を殺し続けた。 殺した鳥は、山の神社の桜の根元に埋めた。 神社は普段、誰もいないので好都合だった。 でもやはり、 いくら鳥の死体を埋めても、 桜は赤く咲かない。 これではどうも、だめなようだ。   次に目をつけたのが、野良猫。 もしかしたら、 鳥類よりもほ乳類の方が いいのではないかと思ったのだ。
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