7人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
多少焦りを感じていたが、
その頃は少し、
周囲の目が気になり始めていた。
近所の人間が野良猫の減少について、
騒ぎ始めたのだ。
殺した猫の死体は人目につかないように
庭の桜の根元に埋めているし、
バレるはずはないと思っていた。
が、俺の家の方から
猫の尋常でない声が聞こえたなどと、
まことしやかに噂が流れ始め、
母も俺に対して疑念の目で見始めたので、
仕方なく暫くおとなしくしておくことにした。
大学二年の夏。
母が会社の人間と旅行に行ったその日。
――初めて人間を殺した。
母が泊まりで旅行に出た夕方、
面倒くさいと思いつつ晩飯の買い物に出かけ、
家出少女に声を掛けられた。
自分こと、
好きにしていいから一晩泊めて欲しい、と。
いってることも頭の軽い莫迦女だか、
見た目もそのままだった。
最初のコメントを投稿しよう!