24人が本棚に入れています
本棚に追加
雨はそんなに強くない。
スニーカーはますます濡れる。歩くたびにひたひたと水を踏んだような音になった。
むしょうに泣きたくなる。
17歳なんてこんなもんだ。
すれ違う人は少ない。
足が重たい。それでも自分の世界に帰りたい一心で歩みを止めない。
アパートに着き、鍵を開けて部屋に飛び込んだ。
傘を投げ捨てて靴と靴下を脱いで、玄関のすぐそばにある脱衣所に放った。
床が濡れるのも構わずフローリングを踏んで、ソファに倒れこんだ。
そこで電気を付け忘れたことに気付いて、眉間にシワが寄った。
一人きりだ。ああ私は一人きりだ。
濡れた髪の毛が冷たい。頭をかきむしると、雫が飛んだ。
濡れた手をパーカーで拭い、スマートフォンと一万円札を取り出した。
一万円札をローテーブルの上に手を伸ばして置いて、両手でスマートフォンをいじる。
最初のコメントを投稿しよう!