本編

出会い系サイトで、拾われる

上体を勢いつけて起こして、そのままソファから立ち上がった。

部屋の照明をつける。雨音が少し、遠ざかっていたことに気付く。

テレビのない部屋だ。時間が経つのはやけに遅いし、流し聞く音さえない。

必然的に、いつものように。
ソファに戻って腰を沈めて、スマートフォンを手にとった。

SNSを適当に開いてそれから、さきほどのメッセージが気になって出会い系サイトにアクセスした。

なにがほしい？
ドトールにいます。

そのメッセージが、先ほどやりとりした相手からきてきた。

なにがしたい？
なにがほしい？

同じような質問で返された。まったくお互い真理をついている。なにひとつお互い返しきれていない。

口の端が上がった。

そして、駅中のドトールにいるのかと、驚いた。
ああ、もう、私は、暇だから。