出会い系サイトで、拾われる

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その日は雨だった。 天気予報通りの雨が市内に降り注いでいて、どんよりとした低い雲が、より一層私の気分を陰鬱にさせる。 カーテンの閉まった、広くはない1Kの部屋の中。安物の偽革のソファの上に私は寝っ転がって、スマートフォンを操作する。 薄暗いが、照明はつけていない。部屋の中で、スマートフォンの画面の明かりだけが唯一光を放っている。少し、眩しい。 大手の出会い系サイト。 開き慣れたページ。 サイト内での私には、たくさんの男からのメッセージがきている。 それを一読もせず、掲示板のページを開き、書き込むことにする。 今から会いませんか? ぷち1でお願いします。 大人が使う、サイト内の監視を逃れる用語も、いつの間にか覚えてしまっていた。 本当に、子どもでさえも簡単に汚れられる時代だ。
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