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先ほど半時間後、と約束して10分経った。指定した駅までは徒歩10分ほどだ。
雨だ。憂鬱だ。
先ほどより雨粒の音が鮮やかに聞こえる。
ああ行きたくない本当に。
ただの一枚の紙切れのために、私はまた男を知るのか。
それでも玄関で靴を履き、透明なビニール傘を持ち私は部屋を出た。
扉が音を立てて閉まる。外はやっぱり、少し空気が、冷たい。
春の終わりだ。
鍵を閉めて、パーカーのポケットに手と共に入れる。
足が重いけれども私は進んで、このときは本当に、周りの世界がすべて濁って憎たらしく見えてしまう。
指定した、浜松駅に着いた。道すがらコンビニで、緑茶と紅茶のペットボトルを一本ずつ購入した。
右手で透明の傘をさし、左手にビニール袋。露わになった手に、雨の日の風は冷たくて痛い。スニーカーも少し、湿った。
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