出会い系サイトで、拾われる

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ぷち、は車の中で、ということで、1は金額。一万円だ。 車の横に立って、助手席の窓から覗き込む。 サイトのプロフィールでは35歳だった。少し若く見える見た目の、スーツ姿の、短髪の男の人。 私は一万円で、車の中でこの男に口でしてやるわけだ。 一生懸命にスマートフォンと睨めっこしていたが、しばらくして私に気づいてハッとしたので、私はにこりと笑う。 車の扉のロックが空いた音を聞いて、私は助手席の扉を開けた。 ナンバーを頭の中で繰り返す。白のプリウス。 「こんにちはー、今日寒いですねえ」 声をかけながら助手席に座って、扉を閉めた。 えっ、あっ、と向こうはどもって、そうですね、と固い笑みを渡しに向けた。 「可愛かったんでビックリしました。俺、アタリだわ」 私もあなたならハズレではないなあ。なんて思う。 けど決してアタリではない。 笑え。
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