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「えー、アタリハズレするほど女の人と会ってるんですか」
私はマスクを顎にずらして、おどけて笑う。
笑え。自分にはっきり命令しないと、本当に笑えない。
そんなことないよ!と慌てて言う男性に、またまたと適当に流して、手に持っていたビニール袋を差し出した。
「どっちがいいですか?」
緑茶と紅茶。
好きなのもらってください、と付け足す。
これは私の保険だ。
援助交際の中で、最初に相手に優しくすることが、身の安全の守り方だと覚えた。
「えー、買ってきてくれたの?ありがとう」
じゃあ、こっち、と。
覗き込んだビニール袋の中から、男は緑茶のペットボトルを取り出した。
いただきますと言って、運転席側のペットボトルホルダーにそれを置いた。
私がビニール袋に入った紅茶を受け取ると、彼は切り出した。
「どうする?」
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