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本気で驚いている海と尊敬の眼差しを向ける淳。意外な反応にこっちが驚いてしまった。2人の性格なら、 夜の学校に興奮しそうなものなのに。
「何でそんなに驚くんだ?別に忘れ物取りに行く位なら普通だろ。この時間なら、まだ先生居るだろうし、生徒だって多少は残ってるだろ?」
そう、今の時刻は午後6時半を過ぎた辺り。通常なら、学校にはまだ半分程度は先生も残っていて、生徒もちらほらと居る時間。部活動の終わる位である。
「いや、いつもならそうだろうけどよ・・・。だって、今日月曜だぜ?」
「それが何?」
「お前マジかよ。月曜日は完全下校の日だろ?だから、毎週月曜は全部の部活が休みなんだべや」
「・・・そういや、そうだっけか。でも、何で月曜日完全下校なんだ?前から気になってたんだけどよ」
俺の質問に対し、2人は驚き半分、呆れ半分の顔でこちらを見つめている。
「お前バカだとは思ってたけど、ここまでとは・・・」
「海にだけは言われたく無いんだが」
「蓮斗も名前位聞いたことあるだろ?怪談だよ、怪談。月曜の怪談」
「怪談・・・?あぁ、そういやなんか月曜日にあるんだっけ?まさか、そんなの信じてんのか?情けねぇな、男の癖に」
普通なら、強く撤回を求めそうなこの言葉に2人は何も言い返えさない。
「だってよー、あれは本物だぜ?うちの学校の歴史が古いのは蓮斗も知ってるだろ?」
「そうだよ、先輩も言ってたじゃん。正直さ、俺も最初は信じて無かったけどよ・・・学校として月曜だけ残るの無しってどう考えても変だろ」
「そんなの、別に部活を休みにするから生徒残らせないだけとか、会議とかあんだろうよ」
「でも、先生も6時までには帰るって変だと思わないのか?」
「確かに・・・それは変だと思うけどよ」
2人に言う事に俺は黙ってしまう。なぜなら先輩の話も、学校の事も全て事実であるからだ。月曜日は生徒は4時半、教師も6時には全員帰る事になっていて、その日だけは警備員のおじさんも一緒に帰る事になっている。
はたから見たら変な話だし、月曜日の怪談なんて胡散臭い話に生徒は愚か先生までどうかしてると思うだろう。だが、この田舎では町民の殆どがこの学校の卒業生。近くに高校は無いので、隣町からも多数来る。昔からそれが当たり前だった為、だれもそれを不思議がったりするものは居ないのだ。
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