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「明日謝れば先生も許してくれるべ、な?」
「そうだよ、取りに行こうとしたのを俺らが止めたって言ったら先生も納得してくれるだろうしさ」
必死に課題を取りに行くのを止める2人を目の前に、俺は取りに行くとは言い出せなかった。
「・・・そうだな。そうするよ。悪いんだけど、明日写させてくれな?」
「もちろん!俺も写させてもらうけどな」
「海は自分のあるんだから、少しはやれよ」
「めんどくさいから嫌だね」
硬直した、雰囲気から先程までの明るい雰囲気に戻ったところで、2人の乗る電車の改札が始まる。
「あ、改札中になったぞ」
「ほんとだ、そろそろ行くか」
「そうだな。じゃあ、蓮斗また明日な」
「またな!」
「おう、また明日」
2人が改札を通ってホームに行くのを見届けて、俺は駅を出る。2人には止められたが、正直いうと課題を出さないとかなりまずい。成績が。
怪談なんてはなから信じて居ないし、むしろ本当なら体験してみたい位だ。ついでに、実際行って怪談が嘘だと証明してみようと思い、2人の忠告を無視し学校までの道を戻って行った。
外はすっかり暗くなっており、もう春だというのにまだ冬の寒さの残る冷たい風が吹いていた。俺はジャンパーの袖に手を入れて、駆け足で学校に向かう。
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