始まり

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月曜のこの時間に学校に忍び込むバカなんてそうそういない。自分もそのバカの1人ではあるのだが、そんな事をするのは、理由がどうあれ相当頭のイカレた野郎だろ。 この学校の生徒の9割以上が、月曜の怪談を信じている。むしろ、信じて居ない生徒は浮いてしまって、目立つ位だ。だから俺も普段はなるべく口に出さずに、周りに雰囲気を合わせて居る。信じて無いなんて事がわかってしまったら、親にも先生にも大目玉である。それ位月曜の怪談というものは、地域にも学校にも根付いている怪談なのである。 窓を全開に開き、さんに手を掛け一気に身体を持ち上げ頭から中に落ちる様に入っていく。そのまま前転をする様な形で上手くぶつからないよう、音をたてないように入る俺流の独特な入り方だ。 トイレの窓は、トイレにしては大きいものの、普通教室にある窓1枚ぶん程度。それの半分しか開かないので、身長が大きい俺には少々きつめになってしまうのである。 身長が高い割に、ガタイはあまり良く無い為上手くすり抜けられたのだ。だが、この体型のせいで運動部ながら「もやし」と呼ばれ、「太らない体質なのだ」と言うと、女子には「嫌味か!」と怒られる。なんとも理不尽な仕打ちを受ける為、窓を通り抜けられる以外で良い事は無かった。しっかり筋肉を付けたいとこである。 学校は土足校。なので、靴を脱いで侵入する必要は無い。気兼ね無く床に足を着く。 入った所で窓を閉め、万が一に備え鍵は開けておく。そして男子トイレの入口から廊下に出て、3階にある2年生教室へと向かった。
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