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紘斗がこっちを窺っていることはわかる。
姫良は無頓着なふりを努め、入り口の横にある応接セットにバッグを置くと、次はコートとマフラーをソファの背にかけた。
姫良がソファに座るとあきらめがついたようだが、それでも紘斗はあからさまにため息をついて、仕事を再開した。
一方で、姫良はバッグから本を取りだして読み始める。
その実、本の向こうに見える紘斗の仕事ぶりを覗いた。
書類をめくったり、パソコンと睨めっこをしたり、姫良から見れば考えられないくらいの速さでデータを入力したり、本当に忙しくしている。
休日ともあってセーターにデニムパンツでは、やっていることと少し不釣り合いに見えた。
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