とりあえず異世界

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「うおぉぉぉ!!その娘から離れろ!!」 拳を振り上げ、魔物を殴り付ける。 「グッ、グオオォォォ!!」 勢いに任せて拳を振り抜くと魔物は木々をなぎ倒しながら吹き飛んで行った。 「ハァハァ!な、なんだこの力は?」 神楽は己の掌を見つめ、走ってきた際に踏みしめた地面の大きく抉れた様子を見て呟く。 「・・・はは。まさかね」 僕は隣に立っている樹を見上げる。 先程吹き飛んだ魔物が巻き込んでいった樹の半分くらいだろう。 「・・・クッ!」 足腰を少し構えて樹を横殴りする。 ドン。 そんな情けない何処にも響かないほど小さな音をならしただけで樹はびくともしない。 そんなびくともしない樹を思いっきり殴った手は皮膚が裂け、血が滲んでいた。 「・・・痛って」 歯を食い縛りながら我慢をして神楽を見ればどこも怪我をしているようには見えなかった。 「・・・やっぱり神楽は主人公だよな」 少し涙で滲んで顔を拭ったら涙が傷跡に染みてまた涙が出てきた。
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