テスト期間の一時

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「・・・神楽が?」 「うん」 神楽の思っている僕の姿。 「なんて言ってたの?」 「えっとね、物静かで根は優しい。それでもって好きなことには凄く楽しそうに話す人って」 「それで?アイラさんはそれを聞いてから僕を見ての感想は?」 アイラは少し答えにくそうにする。 「あぁ、別にいいから」 「んとね?物静かだけど攻撃的。自分を過小評価しているわりに、自分より強い相手や誰も逆らわないような人に悪態を吐く変わり者。・・・でも根は優しい」 「最後のいる?」 「うん。いる」 いるんだ。 「・・・まぁ、違うのは多分僕の性格と言うより理想かな」 「理想?」 「確かに前に居たところでは神楽の言う通りの性格だったよ。・・・でも、人・環境・文化が変われば人も変わる。変わりたい。違う自分になりたいと思う」 例えどんな荒っぽい性格をした人間が、一言も喋らず黙々と作業をする人間達の中に入れば長くは続かず、同じ様に黙々と作業をする人間になる。 郷に入らば郷に従え。 僕はただ、正直になろうと思った。 それが自分に不利益でも。 自分の好きなように生きたい。 例え自分の人生で主人公になれず、主人公の神楽が一緒にいようとも。 「・・・僕の根は優しいと言っても、僕のあり方は変わらないよ」 丁度チャイムが鳴り響く。 「ほらチャイム。次も自習だけど遅くなると監督教師に怒られるよ」
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