テスト期間の一時

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「聞こえているのでしょ愚民。返事をしなさい」 再び声をかけてくる相手にイラッとしつつも返事はせず、黙々と食事を続ける。 「返事をなさい!この愚民!」 イラついていたのか、声を荒げて叫ぶ。 「・・・誰?」 返事をするのも癪なので、相手の顔も見ずに呟く。 「・・・貴方、私が誰だかご存じないのかしら?」 「人の事を愚民呼ばわりして、自己紹介もしない自己中の人なんか知りません」 「貴方、私を侮辱するつもりかしら?」 「侮辱もなにも。偉そうにしているだけなら誰でも出来ますよ。それに愚民で一くくりされても誰に言ってるのか分かりませんよ」 「貴方しかいないじゃない」 相手の話を聞き流しながら食事を終わらせ、弁当箱を包む。 「・・・もしかして、ここでいつもご飯を食べる人?」 自分が見つけた穴場だが、もしかしたら先約の人だったのか? 「高貴な私がこんな所で食べるものですか」 先約の人では無いようだ。
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