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「・・・御影。夏休みが始まり、各々が家の予定やらなんやらあるのに、こんなことをしているのはどう思う?」
「・・・赤点をとってしまったので」
そして僕、烏丸御影は夏休み初日、教室で担任とマンツーマンで補習を受けていた。
テストの結果、異世界人である神楽はまさかの10位圏内に入り込み、クラスのみんなは勿論。あのカインですら赤点を回避した。
・・・しかしながら、歴史や計算式の暗記のやり直しに苦戦し、僕一人が赤点をとってしまった。
赤点以下は補習はどこの世界も一緒みたいだった。
「・・・先生」
「ん?何だ?」
Sクラスに補習者が出るとは思っておらず、面倒だと考えているのか怠そうに見える。
「・・・正直言って、今、この瞬間がとても幸せです」
「は?何でだ?」
「数合わせって理由でエリートクラスに入れられて、周りの皆と比べられて、授業でも『Sクラスのみんななら別に質問は無いわね?』なんて言われて質問できなくて。・・・今は皆いなくて比べられずに分からないことが聞ける。この環境が凄く幸せです」
「・・・グスッ。いつでも頼ってこい。補習は1週間あるからな?」
涙声の先生に僕はこの幸せの時間が1週間続くと知り、歓喜した。
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