テスト後、夏休み

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「・・・ルーン?生きてる?」 「かろうじて・・・っ!」 下に落ちたとは言え、すぐ下の空洞立ったため直ぐに地面にたどり着く。 しかし、水着を着用していたルーンは軽く足首を捻ってしまった様だ。 「これ以上の探索は不可能だ。帰ろう」 そう言ってポケットから魔方陣の紙を取り出すと、ルーンは出そうとしない。 「・・・何やってるの?帰らない気かい?」 「無いのよ」 「紙が?」 「落としたみたいなの」 魔方陣の紙がない。 神楽の作ったこの紙は所謂一人用。 つまり、ここに1枚しかないので片方しか転移出来ない。 「御影は先に行きなさい」 「ルーンは?」 「私はアイゼンを呼ぶから大丈夫よ」 そう言いながら足を摩るルーンに僕はため息を吐いた。 「じゃあ早く呼びなよ」 「だから先にって」 「使い魔を呼べないのに何を言ってるのさ?」 「・・・ッ!」 そう、使い魔が呼べないのである。 これはルーンに関わらず、今の僕も呼べない。 「何かが使い魔との関係の間に割り込んで邪魔をしているみたいだ。僕もクロウが呼べないよ」 まぁ、どうせ原因はこの洞窟にいる魔物が原因で今は神楽達とバトっているんだろう。 「ほら、これあげるから帰りな。僕は自力で出れるから」 「ちょっと!?待ちなさい!」 僕はルーンに魔方陣の紙を渡して歩き出す。 「人の好意はありがたく受け取ってくもんだよ?」 「貴方はどうするのよ!深くまで降りてきたのよ!」 「それでも出れるから」 「御影!」 「・・・あーもう煩いな<シャドウエッヂ>」 あまり言ってくるので僕はルーンの足を狙い、シャドウエッヂを撃ち込む。 無論、捻っていたルーンに避けられるわけもないので足に直撃する。 「グッ!」 「足は折れてないけど歩くのは無理でしょ?それじゃあまた後で」 「御影!!」 ルーンの叫びを無視をしてさっさと視界から消える。 「・・・早く戻るか」
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