夏が終わる前に

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ーーーーー 「つっかれた」 「御影お疲れさん」 僕は自室のベットの上に横たわった。 「・・・にしても、使い魔との融合なんてよく思い付いたな?」 「思い付いたんじゃなくて思い出して別視点から考えたんだ」 異世界物の話となればチートな主人公とその使い魔との融合なんてものがある。 普通なら土壇場でやって勢いだけで成功してしまい、その以降モノにしてしまうわけである。 しかし、勢いだけでやってしまっても理由や理屈がある。 ならばそれを色々な視点で試行錯誤して解明できれば僕達脇役でも使用が可能である。 今回は僕と言うイレギュラーが存在するものの、この世界は王道だ。可能性はあると確信はしていた。 「融合出来ても疲れるのは考えものだよ」 「それでも今回は成功した上に良い力を獲得したんじゃないか?」 クロウの言葉に僕は手にはめてある黒星を見つめる。 「そうだね。融合による力の増加に、融合したことで新たに加わった黒星の能力。そして僕と相性の良い便利な力。・・・今回は収穫したものが良かったよ」 そう言い瞼を閉じる。 「これなら僕自身も戦力に出来る」 段々力が抜けてゆき、意識が遠のいていく。 ・・・そう言えば人を殺したのは今回がはじめてか。 質素に簡単に簡潔に瞬間を思い出す。 その情景は鮮明に覚えているはずなのに、非常にどうでも良いことかと考えてしまった。
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