夏が終われば次は祭り

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「・・・っで、あるからにして」 毎回恒例の先生の長ったらしい話。 周りを見渡しても非常に眠そうで欠伸を噛み殺す生徒もいれば大口開けた生徒もいる。 「・・・眠い」 僕は前者であり、歯を食い縛る。 黒星をはめなおして細く無透明の糸を出す。 「行け」 糸を伸ばし、大口を開けた生徒の下に行かせ・・・小さく刺す。 別段、鋭利でも棘付でも返しがついているわけでもない。 刺された者は蚊に刺された事より気がつけない。 「・・・では、いただきます」 そう呟いて僕はもう一度欠伸を噛み殺して目蓋を閉じず、ただボーッと目の前のクラスメイトの背中を見つめる。
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