武器と使い魔

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「俺は今まで色々な物を集めてきた。微妙に光る石にガラス。鱗や森を通った際に落としたと思われる金属の部品」 僕は語らずクロウの言葉に耳を傾ける。 「他の皆から見ればつまらないものだろう、ガラクタばかりだろう。それでも俺には充分だったし満足だった」 だけどな? 「その満足感も今さっき終わったよ」 クロウはため息も吐かなければ笑もしない。 「アイツは確かに綺麗で輝いている。だからこそ俺の集めた光り物、集める努力、手に入ったときの喜び。全部を否定された気分だ」 集めた光り物はレイナの前では石ころにも満たさない。 手に入りにくいものをとるためにした努力もレイナは初めから持っていた。 手に入りにくいものを得た時の喜びは全てを周りから献上されている身なりを見れば自分の喜びなんてちっぽけに見えた。 「高嶺の花とはよく言ったものだけど、アレは別格だ」 ただの高嶺の花なら、手に入ったときの喜びは大きいし皆にも自慢できてプレゼントになるだろう。 「アイツは絶対に手に入らないし、手に入ったとしても喜びより、輝きすぎて自分の全てが眩んで見えなくなってしまう」 高嶺の花は自分にはそぐわない。いや、自分を否定する決定的な悪魔の花になる。 「あの輝きを見てしまった以上、今までの俺の努力を否定された気分となり続け、きっとこれからずっとアレより綺麗な物は見つからないし探してもアレと比べられてしまうよ」
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