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レイナから目をはなさないクロウを見て僕は、
(・・・そうか。クロウは俺と同じなのか)
自分の実力に合った使い魔が現れると言われるが何故、クロウなのか分からなかった。
ただ弱いだけという理由なのか。
そんなことを考えてはいたが、ここまで自分と同じ。もしくは限りなく近い。
クロウはレイナを見て全てを否定された気分だとは言うものの絶望した様にも見えず、『諦めた』の一言に尽きたのかもしれない。
僕が神楽と出会う前なら、どんなに自分の出来が悪くても諦めたくないと考えたし、これだけは負けたくないと思えるものがあった。
・・・それが神楽と出会ってからは全てを諦めた。
勉強に力をいれて初めて75点をとっても神楽は勉強せずに100点満点。
運動しても神楽は直ぐにマスターし、触れることも叶わず。
自分の得意だったゲームも作業も、ぶっつけ本番で僕より出来が良かった。
(・・・だから諦めた。頑張る事を。目標を立てることを)
そして自分の人生を。
頑張ったって神楽には勝てない。
目標を立てたって神楽にしては無意識クリア。
超絶完全主人公気質の神楽がいる時点で、僕の人生は日蔭に隠れた。
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