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番号の交換を済ませると、また歩き始める。
「あのさぁ、章大」
「何?」
「章大がいなかったら、今頃私死んでるんだよね」
「ああ、そうかもしれないね」
「章大は命の恩人だよ。有難う」
「何言ってるんだよ。好きな女を助けるのは、男として当然のことだろ」
「そっか、うん。でも有難う」
「あのさぁ」
「何?」
「じゃあお礼を」
「え?」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど」
「こういうことはさぁ、時間をかけて順を追ってなんだと思うんだけど、まぁお礼ってことで一回だけ」
新田の顔が近づいてくる。
ここでようやく、琴音はお礼の意味を知った。
人生初の告白。そして彼氏。そしてファーストキス。
死ぬほど辛かったさっきまでが嘘のように、琴音は今最高に幸せだった。
完 ご愛読有難うございました。
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