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琴音が絶望した瞬間、教室のドアが開く。
物凄い勢いで駆け込んで来たのは、野球部の新田だった。
突然背後で大きな音がしたので、大島が驚いて振り返る。
その身体目がけて、新田は思い切り突進して来た。
大島が手に持ったナイフを咄嗟に新田の方に向ける。
そのナイフをギリギリで交わした新田の手が、斬りつけられるより先に、大島の胸を思い切り突き飛ばした。
「うわっ!」
大島はそのまま勢いよくひっくり返る。
「大丈夫か? 掴まれ」
新田が琴音に向かって、しゃがんで背を向ける。
「新田くん」
「早く!」
新田に怒鳴られて、琴音は慌ててその背中にしがみついた。
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