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頭に浮かんだその人物は黒い長髪を靡かせ、常に人を見下すような笑みをうかべていた。
だが、時には酷く優しく微笑むことを葵は知っている。
だからこそ、僕はあの人に……
自分の気持ちに気づき始める葵。
しかしそれと同時に太股を掴まれ、身体がビクリと震えた。
いやだ!!
誰か助けて……
誰か……
誰……?
「……――ッ助けて!!帝先輩!!!!」
バァンッ
「「「!?」」」
「……え?」
葵が叫んだその瞬間、ドアは凄まじい音をたてて開……否、飛んだ。
そこにいたのは……
「……ッはぁ……葵!!」
我らが生徒会長様、帝であった。
「帝……先輩……?」
いつもの余裕で涼しげな様子はどこに行ったのか、髪は僅かに滲んだ汗で肌に張り付き、息も絶え絶えの帝。
彼は一度大きく息をつくと乱れた髪をかき上げ、葵に群がる男達を見据えた。
睨むでもなくただ視線を向けられただけだというのに、男達はヒッと身体をすくませる。
そしてコツ……コツ……と無言でゆっくり近付く帝に、恐怖で指一本動かすことも出来ず……
男達の意識はそこで途絶えた。
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