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「貴方は本当にあれでよかったんですか?」
「……何がだ?」
生徒会室の隣に位置する風紀委員室。
同じソファーに並んで座り、黙々と書類整理をしていた中で、不意に神威が口を開いた。
互いに無口なため、いつもは必要最低限の会話しかしないこの二人。
緋月はあまりに珍しいことに少し驚きながらも、手を止め、わずかに視線を神威のほうへと移した。
「葵のことです」
ピクリ……と反応する緋月。
「……好きだったんでしょう?貴方も。あの皇 帝と同じように」
その反応を見て確信した神威は、緋月の目を見て言い放つ。
一瞬軽く目を見張った緋月だが、その表情はすぐさま元の淡々としたものに戻った。
「何故そう思う?」
「俺が葵といる時、貴方はいつもこっちを見ていた」
「ククッ、そうか」
「……何が可笑しいんです」
「いや、すまん。じゃあ知ってのとおり俺は今失恋中だ。だから……
……お前が癒せ、俺を」
その言葉が聞こえると同時に、神威の口は何かを発する前に塞がれた。
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