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「!?んんッ」
始めは驚きで動きが止まっていたが、何が起こったかを理解した瞬間、神威は緋月の身体を押す。
しかし、口づけされたままドサリと逆にソファーに押し倒され、必死の抵抗も緋月の前では無力だった。
「んッ……ふっ」
いつの間にか侵入した舌に口内を犯され、身体の力が抜ける。
意思に反して漏れる、自分のものとは思えない声に、耳を塞ぎたくなった。
「……ッはぁ、はぁ……」
しばらくしてようやく唇は離れる。
軽い酸欠で短い息を繰り返す中、神威の身体にかかっていた重圧が消えた。
「……神威」
名を呼ばれボンヤリと視線を動かせば、扉に手をかけた緋月の姿。
途端にバッと起き上がり、口に手をあてる。
顔を初めとして身体中が暑く、ドキドキとなる心臓の音がやけに煩かった。
「そっちを見ていたからといって、葵を見ていたとは限らないぞ」
妖しい笑みと、やけに意味深なその言葉を残し、緋月は扉の奥へと姿を消す。
「……――ッ!!!!」
後に残った神威はドキンと胸が高鳴ったのと、カアァと顔が赤くなるのを感じたが……
「(なんなんだ、これは……)」
それが何を意味するのか、彼がそれに気付くのはまだ先のこと。
the end
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