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「おまけにいけないのが、戦争です。
イーグの新聞とこちらの新聞では、まあ当然でしょうが、伝える中身が違いすぎます」
「それはな、君、他で言うなよ」
ヨースは少し背もたれから起き上がって凄み、そして苦い顔になった。
そこへ応接室の入り口のドアにノックがあり、メイドが紅茶と菓子を持ってきた。
シーラスが横から手を伸ばし、菓子を一つ口に放り込む。
「親父さん、こいつの口は、必要なときには閉じるし、必要なときには開く。
陛下のためや政府のため、軍部にために動く口じゃないが、国のためには動いて、誰にも止められないし、誰にも動かせないよ」
口をもぐもぐ動かしながらはシーラスは言った。
それを聞いて、ヨースは再び背もたれに体を預け、葉巻をせわしなく蒸かした。
「私は外務官なんだ、戦争などいい迷惑でね、だが、戦争をしたい奴も、確実にいるんだ。
そいつらを相手にする身にもなってくれ」
「クーシさんの事ですか」
「あいつの名前は出すな、胸くそ悪い」
ヨースは少し大きな声でシーラスに怒鳴った。
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