2人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
クーシは現商工次官であり、帝国議会の議員である。
商工省に出入りしているシーラスは、クーシとも面識がある。
少なくとも今の会話で、ヨースがクーシを良く思っていないことはわかった。
クーシは、軍需産業とのつながりが強い。
彼の豊富な政治資金は、もっぱら軍需企業から出ている。
当然ウォロスとの戦争には、強硬に賛成している。
そもそも商工省の官僚達は、かなりの人数がそうした軍需企業に天下りしているから、省全体が戦争推進派と言えた。
「軍部には言ってるんだ。
やるなら仕方ないとして、勝ちすぎず、負けすぎず、いい程度で引き上げろとな。
戦争ってのは必ず恨みを生む。
恨みがひどいと、腹芸では収拾がつかん。
もちろん大負けに負けてみろ、この国は吹っ飛んじまう。
だいたいウォロスは強いんだ。
財務省だって戦費獲得で、国債が紙屑みたいに安いってぼやいてる。
どの国もゴルチェが負けるって思ってるんだ。
なのに戦争したい奴がいる」
ウォロスの東方艦隊は世界の列強が恐れる精強さである。
対してゴルチェは、戦場が近海である故地の利はあるが、優位なのはそれぐらいしか浮かばない。
最初のコメントを投稿しよう!