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「そこへきて君らみたいなのが国内で騒ぐだろ?
徴兵で産業も厳しい。
経済が疲弊したら戦争なんて成り立つはずがない。
そう何度も言ってるんだが、クーシの馬鹿は、軍需産業で国内の主要企業は活性するからって聞かない」
ヨースは随分毒づいて、上等な葉巻が見る見る短くなっていった。
「もうこんな話はよそう、気分が悪い。
せっかくの来客なんだ、ロキアの様子なんぞも聞かせてくれないか」
ヨースはパッと笑って、フェイスにそう水を向けてきた。
「いや、あいにく先週末に帰国したばかりで、ロキアの事はあまりわかりません。
どちらかというと、イーグの様子の方がわかります」
「ならそれでいい。
もう何年か向こうには行けてないから、様子も知りたい」
その様子はまるで、何にでも興味を示す子供のようだった。
そういうところはシーラスと似ていたし、フェイス自身とも似ていた。
フェイスは、恐らく主義主張で反する所はあるのだろうが、この中年の男が、嫌いではなかった。
それから小一時間ばかりしゃべった後、フェイスとシーラスはヨースの邸宅を辞した。
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