第1章

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「そこへきて君らみたいなのが国内で騒ぐだろ?  徴兵で産業も厳しい。  経済が疲弊したら戦争なんて成り立つはずがない。  そう何度も言ってるんだが、クーシの馬鹿は、軍需産業で国内の主要企業は活性するからって聞かない」  ヨースは随分毒づいて、上等な葉巻が見る見る短くなっていった。 「もうこんな話はよそう、気分が悪い。  せっかくの来客なんだ、ロキアの様子なんぞも聞かせてくれないか」  ヨースはパッと笑って、フェイスにそう水を向けてきた。 「いや、あいにく先週末に帰国したばかりで、ロキアの事はあまりわかりません。  どちらかというと、イーグの様子の方がわかります」 「ならそれでいい。  もう何年か向こうには行けてないから、様子も知りたい」  その様子はまるで、何にでも興味を示す子供のようだった。 そういうところはシーラスと似ていたし、フェイス自身とも似ていた。 フェイスは、恐らく主義主張で反する所はあるのだろうが、この中年の男が、嫌いではなかった。  それから小一時間ばかりしゃべった後、フェイスとシーラスはヨースの邸宅を辞した。
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