第1章

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 部屋に通され、しばらくすると熱い茶が出てくる。 すぐにシーラスもやってきて、高級な酒瓶とグラスをテーブルに置く。 追ってメイドがつまみになる食べ物を運んできた。 「まぁ長旅お疲れさん」 「おう」  二人はグラスを合わせ、ウィスキーの水割りをぐいと呑んだ。  それからしばらく二人は、イーグの裏通りの酒場がどうの、株がどうのという世間話をしていたが、やがて玄関で人の気配がした。 「ただいま」  そちらに向かってシーラスが呼ばわる。 「おいマーサ、フェイスが来てるんだ」 「あら」  やがて姿を見せたのは、華やかで勝ち気そうな印象の女性だった。 いかにも上流家系の出だとわかる。 西方風の柔らかで女性的なドレスで、手には舞踊の衣装を抱えていた。 「あなた、言ってくださいな、稽古をお休みしたのに」 「なに、構いませんよ」  フェイスは笑って答える。 「リルに言って、寝る部屋を用意してやってくれ。  あと、腹の膨れる物も頼む。  つまみばっかりじゃ、物足りない」  シーラスはそう言う。 夫人は少し呆れた様子で、奥に入っていった。
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