第1章

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 しばらくすると、麺類や肉類、芋や野菜など、いくつかの料理が出された。 意外にも普通の家庭料理だった。 シーラスは富豪だから、もっと立派な物が出るのかと少し気が引けていたが、杞憂だった。 「しかしこのウィスキーはうまいな」  氷をカラカラ言わせながら、フェイスは喜んだ。 「だろ?  イーグからの輸入品だ」  イーグでは四百年ほど前からウィスキーを生産しており、世界最大の産地である。世界的にも評価が高い。 なお、ゴルチェ国内ではまだウィスキーの製造は行われていない。 「お邪魔していいかしら」  隣の部屋からマーサが顔を出した。 「遠いところお越しになって、ありがとうございます」 「いやいや、こちらこそが一晩ご厄介になります」 「この人しょっちゅうフェイスさんのお話をしてますのよ。  政府の人間だったら面白いのにって」  マーサが言うと、シーラスは苦い顔になった。 「俺なんかは、政治も政権も政府も、柄じゃありませんよ。  流行りの運動家もね。  どこまで行っても俺は研究者です」  フェイスはつり目を細めて笑った。
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