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第1章
「陛下!ご無事ですか?」
そんな台詞が聴こえ目を覚ましてみると間近に大臣の姿があった。
陛下と呼ばれた長い金髪の青い瞳をした青年は尋ねた。
「・・・あれ?大臣・・・死んだんじゃないの?」(顔が近い・・・)
「私は無事でございます!それよりも・・・陛下は・・・お怪我はありませんか?」
大臣と呼ばれた男はスキンヘッドで瞳は茶色で熊のような男だが、陛下の無事を確認すると距離を少しだけあけた。
「大丈夫!して・・・ここはどこだ?」(ずいぶんとゆっくり眠れたな)
「分かりません!見たことの無い土地でございます!」
「・・・あの球体の魔法は他所の大陸に飛ばす力があったようだな!・・・ん?」
皇帝は周囲を確認し立ち上がり空を見上げた。
「妙に暗いな・・・!大臣・・・あれはなんだ?」
皇帝の台詞に空を見上げる大臣もすぐには返事が返せなかった。
「・・・あの雲の間から出ているのは大陸・・・ですかね?」
大臣も空に浮かんでいる大陸とまでは思えたみたいだが、二人とも初めて見るものだった。
「・・・もしかして死後の世界というやつか?」
「まさか・・・死ねばただの肉の塊です!死後の世界というのは人の恐怖と不安から作られた想像の産物です!」
「じゃあ・・・あれはなんなんだ?」
「分かりません!気が付いたらここで目を覚まして周囲を確認しているところに頭上から球体が現れて、中から陛下が降ってきました。その後球体が消えて現在に至ります。」
皇帝は頷いてから答えた。
「そうか、・・・とりあえずあの浮いている大陸は落ちてはこないようだから後回しにするとして、さっさと国へ・・・いや、せっかく付き人も居ないんだ。ちょっと見物して帰っても良いだろう。」
「はっ!え?いやいやいや、なにが見物ですか、さっさと帰りますよ。陛下が不在だと帝国内で知れ渡ったら一大事です!」
「たまには外出して民の生活を見ろとか言っていたのは大臣だぞ?」
「それは帝国内での話です。こんなどこの大陸とも分からない田舎を探検している場合じゃあないです。」
「はいはい、とりあえず人を探して道を聴かないとな。」
「陛下、はいは一度で良いです。」
「悪かった。」(これだから大臣はいっつも面倒くせえ奴なんだよな)
「なにか言いました?」
「いや、別に何も!とりあえず、遠くに見える建築物に見える所を目指すか!」
「はっ!」
2人は歩き出した。
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