南の独占欲

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少し膝を曲げる先輩と、踵を少し上げる僕 互いの頬と唇をあわせてから小さなリップ音と共に僕のそれを離して、彼の首に腕を絡めて自分に引き寄せて 「え、みな」 僕の名前を呼び終わる前にその唇を塞いだ 一緒の部屋になってから初めての僕からのキス 本当は今は唇にするつもりなんてなかったけど見てしまったんだ 先輩の首筋の赤い跡を… もしかしたら先輩もさっきの会計先輩と同じようなことを誰かに言われたのかもしれない そして先輩が話を聞かないから、その人が跡を付けたのかもしれない そう思うと無性に腹が立った この人は僕のものなのに 「ん…」 目を閉じてるから定かじゃないけど、きっと先輩は目を見開いて僕を見てるんだろう 強く視線を感じる どこまで攻めてもいいのか、僕がその攻めに怒るのはどのラインなのか見極めようとしている けど今はそんなこと気にしないで攻めて欲しい… 僕からの『いやだ』って言葉を無視して攻めて欲しい… 先輩には僕だけだって、僕に刷り込んでよ 「ん….」 舌で唇を撫でられ、少しの隙間から迎え入れれば味わうように上顎、歯列をゆっくりと攻められる それがむず痒くて、でも気持ちよくて堪らない 「…ハァ…」 「その顔が堪んねぇ」 そして再び塞がれた唇の隙間から溢れる水音 このまま続ければきっと流される 流されて先輩が満足するまでカラダを求められるだろう 少しの恐怖とそれに相反する好奇心が溢れてくる この人から受ける愛撫 投げかけられる攻め句 直に感じる互の体温や呼吸 それを感じてみたい でも怖い
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