第1章

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「百合ちゃんは、時計とか好きなの?」 最初のころの会話で なんどか彼は聞いてきた。 「時計?」 「うん、どんな時計をしてるの?」 「時計はあまりやらないけれど? すぐあちこちに脱ぎすてたり、 なくすし、壊すし...」 「...」 「?」 「僕は時計好きで、 小さい頃からいろいろ 集めているんだ」 「ふぅん...」 「どんな時計?」 「ほとんどが手巻き時計で、--- 」 「手巻き時計?」 百合が遮った。 面倒くさがりの百合には、 彼が夢中になっていた 手巻き時計の美学なんて 知る由もなかった。
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