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「百合ちゃんは、時計とか好きなの?」
最初のころの会話で
なんどか彼は聞いてきた。
「時計?」
「うん、どんな時計をしてるの?」
「時計はあまりやらないけれど?
すぐあちこちに脱ぎすてたり、
なくすし、壊すし...」
「...」
「?」
「僕は時計好きで、
小さい頃からいろいろ
集めているんだ」
「ふぅん...」
「どんな時計?」
「ほとんどが手巻き時計で、--- 」
「手巻き時計?」
百合が遮った。
面倒くさがりの百合には、
彼が夢中になっていた
手巻き時計の美学なんて
知る由もなかった。
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