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「や!優希」
頭の中がぐるぐるしてるまま、家にたどり着き、そのままベッドにダイブしたかったのに、そのベッドには千尋がいた。
「な・ん・で!千尋がいるのよ!勝手に入らないで!」
願望を阻止され、ふるふると怒りが沸き上がる。
「優希が帰っちゃったからねー。まだお話ししたかったのー」
相変わらず可愛い笑顔で猫のように丸くなる千尋。
きゅんとくる胸を無視して
「話って何よ…。終わったら、帰りなさいね?」
と言いながらクッションに座った。
千尋が男なら、今までみたいにできない。
過去の自分を殴りたい気分だが、そんなことはできない。
「えへへー。優希大好き~!」
バッと千尋は立ち上がり、笑顔で私に抱きついた。
「どうしたのよ急にー…って!そうじゃないわ、離れなさい!」
にやつく顔をおさえ、千尋を引き離す。
「あぁん!いーじゃん優希ー。けちー」
千尋のしぐさが可愛い。
そんなことはずっと前から知ってる。
「じんましん出るでしょ!って…あれ?」
男に触れると、じんましんが出る。
でも、千尋に抱きつかれてなお、私の肌は反応なし。
「ゆーき。私なら、平気でしょ?」
千尋の笑顔にくらくらする。
私、千尋が好きなの?
認めない…認めないんだから!!
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