発展途上な気持ちを抱える

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カウンターで業務の説明をしていると、柳田さんの視線が色めく。 なんだ? 視線を追うと、笹本がいつもの席に着くところだった。 「どうかしましたか?」 「いえ、きょうも麗しいなあとおもって」 「ははは、面白いことを言いますね」 「カッコいいですよね笹本くん、院に進んでくれたからこうしてまた拝めるのがわたしの幸せです」 柳田さんの大袈裟な発言が、実感としておれにもわかる。 姿を見かけるだけで、モチベーションが上がる。 ただ、笹本はオトコだ。 「彼女とかいないんですかね?」 「いまはフリーらしいですよ、はぁ…あのクールな感じでふいに優しくされたらって考えるだけで、萌えます」 「ギャップってやつですか」 「そうです!紳士なのに俺様とか!」 「ふいをつかれてキスとか」 「あら、山内さん分かってるじゃないですか、めずらしい!」 「めずらしいは余計ですよ、」 それに、これは経験則だ。 オトコなのに。 好き、なんだよなぁ。 …オトコなのに。 思考は堂々巡りで、出口が見えない。
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