迷走する気持ち

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「ひ、と、ち、が、い!」 但馬先生の言葉に、渡部さんとわたしは大きく頷いた。 「でも、図書館の職員で背が高い男って教授が言ってた」 「佐伯に比べたら大体の人は高いわよ、」 佐伯くんは、但馬先生よりも低い。 「あの、その、付き合ってるひとをどうするつもりだったんですか?」 山内さんも股ドンされるのかしら。 「ユッキーナの鉄壁のガードを下ろさせるなんて、なんかすげーテクニックの持ち主なんじゃないかって、興味があっただけ、俺なんか軽くあしらわれたのにさ、」 佐伯くんの言葉につい、期待してしまう。 「…え、佐伯、なにかしようとしたわけ?!」 但馬先生の食いつきように、気が合うわぁとおかしい。 「どうかな~」 佐伯くんは意味ありげにほほえんだ。 「でも、えっと、渡部さん?もいけるクチでしょ?」 「は?!いやいや、僕は女性がいいです」 ああ、勘違いさせちゃったのね、渡部さん。もう、いいんじゃないの、 「…佐伯くんとお似合いですよ、」 これがわたしの正直な気持ち。 女王様気質の佐伯くんと、真面目な渡部さん、うん、いいカップリングだわ。 「中本さぁん!それを言っちゃいますか!」 けらけらと但馬先生がわらう。ほら、同感でしょ! 「中本さんっひどいです…」 困り顔の渡部さんに安心してしまう。まだ、嫌われてはないのかなぁ。
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