要注意人物

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「そんなもんかぁ、」 「サービスエリア寄りますか?」 「寄ろっか、休憩しよう」 「佐伯くんのこと、思い出してたんだけど、」 佐伯くん?あ、股ドンの、ね。 「口づけられたことがある」 おお、それは、すごい。 チラリと幸がこっちを見る。 「びっくりした?」 「うん…」どんな気持ちで、されたんだろう。 「あんまり覚えてないんだけどね、新歓で、けっこうぼくも飲んでたし」 事も無げにそんなことを言う。 「ふうん、」 なんだ、酔ってたんなら数のうちに入らない。 「心配?」 心配?というよりも、 「いや、べつに…肉食系なんだな、佐伯くんは」という感想。 「はぁぁ、つまらない」 「は?」 「雅さん、全っ然、嫉妬とかしないよね」 「嫉妬、して欲しいんだ」 前も似たようなこと言われたかも。 「そうじゃないけど、」 サービスエリアが近づき、車線変更をするために視線を配る。 そんな運転に集中している姿とか、佐伯くんはきっと知らない。 交通マナーの悪い車への舌打ちや悪魔のような独り言とか、水族館での一見そうは見えないけどはしゃいでいる様子とか。 そんなのを堪能したあとでは、申し訳ないんだけど優越感しかない。 珍しくあたふたしながら駐車をする様が愛おしくて、バックミラーを睨みつけるこめかみにキスをした。
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