2・徳丸くんって、いい人かも。

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「  …赤いですね」 言うと、うるせ、と、徳丸くんの口が尖る。 だから私も気が抜けて、ぷはっと口を開ける。 笑ってしまった。 「…私も少し、キュンとしてしまいました」 口を突いて出た本心。 すると徳丸くんが、「え」って豆鉄砲食らったような顔になり、 でもその直後、カウンターの上からぬうっと朝日のように出てきた小橋の顔に、 ギャーッと突き抜けるような悲鳴を上げてしまった私はまだまだ未熟者。 ーー本当は昨日、泣いてすっきりしてた。 だから百歩譲って徳丸くんがノリちゃんの言ってたような人でも、私には関係ない。 だって昨日2コール目で出てくれた徳丸くんが、今の私にとっては全てだ。 昨夜、落ち着けと叫んだ彼が、 すぐ赤くなる耳を持つ彼が、 すぐ不貞腐れる彼が、 背が高くて手が大きくて、ちょっと鳥の巣のような頭の彼が、 そして今日、キュンキュンするゲームとか可笑しな事言って元気付けてくれようとした彼が、 私の知ってる全部。 義理もないし貸し借りもない。 男女関係にさえならなかったら、何も問題はなさそう。 .
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