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(やってやります、徳丸彼女)
数日後、新しい髪留めを買った。
これからはなるべくコンタクトを使う。
皆に一泡吹かせてやりたい。
そう思ったのが始まりだった。
(本気で彼女のフリをやってやる)
騙してやる。
(また、陰気に羨ましがればいいんだ)
始まりの切っ掛けの覚悟は、そういう不純で根暗な動機からだった。
「つうかお前ら、キュンキュンするゲームって一体何なワケ? お前ら絶対付き合ってねえだろ! つうかそのゲームの名前、すっげえ痛いんですけどっ! 名付け親は誰だ! まさか徳丸、お前じゃないだろうな!? お母さんはそんなキモい子に育てた覚えはありませんよ!?」
小橋にスーツの胸倉を掴まれながらネーミングセンスを詰られ、
なんとも恥ずかしそうにあっちを向いてる徳丸くん。
きっと穴があったら入りたいとか思ってるんだろうなーとか思いつつ、彼の耳を見る。
それは可哀想なくらい赤くなってて、
私はたまらず、今度は皆の前で笑ってしまったよ。
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