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あまりに長い間彼らの殺人が続くために、世間も一部感化されていた。
この事件を真っ当に否定する人のほかに彼らを神格化する人々が現れたのだ。
信者たちのほとんどは社会に爪はじきにされた者たちで、彼らの行動を自分たちにはできなかった「社会への報復」だと考え崇め敬った。
…まぁもちろん、彼らにはそんなつもりなど微塵もなかったわけだが。
─そしてここに少年が、1人。
彼らに怖れと尊敬の念を抱くまではただの信者たちと同じ、だがこの少年は彼らに少しでも近づくことを望んだ。彼はただの力なき者とは違う、実際に彼らに憧れて銀色のナイフを手に取ったのだから。
「さぁ、今夜も美しい絵を仕上げに行こう」
侵食する闇。
明るく居続けるよりも、闇に堕ちるほうがずっと楽だ。
その闇はひどく、ひどく甘く堕ちたものはその闇の虜になる。
少年もそう。
その他の─彼らや少年以外の─犯罪者もそう。
堕ちた先は、甘い蜜の滴る桃源郷なのだ。
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