第一章 天使と過ごす

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「後で、志信が怒るぞ」  怒ってもいい。  おやつを食べていると、 くしゃみをしながら兄ちゃんが帰ってきた。 僕が行っていたことは知らないので、 何故起こさなかったと、 典史兄ちゃんを怒っていた。 「気持ち良く、眠っていたからさ」  典史兄ちゃんが、兄ちゃんに笑いかける。 優しい笑顔ではなくて、いたずらな笑顔で、 それはいつも、 兄ちゃんや直哉兄ちゃんにしか向けられない。 「黒井、後で、蔵の中を点検してくれる。 最近、 又物音がするから」 「いいけど、俺、夕方から仕事だから、 今見てくる」  典史兄ちゃんは、 この家に結界を張っている。 結界の中は、 悪い霊とかは動けないけれども、 悪意のないものは簡単に動けてしまう。
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