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僕の兄ちゃんは、
最近までこの羽が見えなかったのだけれど、
今は見えているらしい。
兄ちゃんは、
ちっとも典史兄ちゃんを大切だとは思っていない感じで、
こき使っている。
話しは戻るけど、僕の家は山の上の寺で、
近所と呼べる家は一軒もない。
学校の友達も、一番近いところでも、
歩いて三十分以上かかる。
そもそも、一番近くの民家まで、
歩いて三十分かかる。
どうやって、友達と遊ぶのだ。
兄ちゃんはいい、
同じ年の典史兄ちゃんも、直哉兄ちゃんも、
事情があるといって、
一緒に住んでいるのだから。
ケンカしたり遊んだりと、
毎日できる。
「一穂、おやつよ」
母さんが呼ぶ。
今日は、典史兄ちゃんも、
兄ちゃんも家に居たはず。
一人じゃない、と、
はりきって居間に行ったのに、
僕一人だった。
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