第三章 大好き

10/16
前へ
/49ページ
次へ
 遊園地にきっと大切なものがあったのだ。 そっとしておいてあげればいい。 「それに、ここにも座敷童子に近い一穂が居るだろう。 ちゃんと遊んでやれ、 兄貴なんだから」  兄ちゃんと遊びたくない。 兄ちゃんと居ると、厳しい先生が一緒のようで、 緊張するから嫌だ。 「典史兄ちゃんがいい」  あらあら、ずいぶん懐いてしまってと母さんが笑うけど、 懐いているのではない、 僕は恋人候補だ。 兄ちゃんのライバルだ。 「俺か、じゃ休み取るかな。 一穂と遊園地行くために」  典史兄ちゃんとデートだ。 「俺はダメで、一穂は即答OKか」  僕は、本当に嬉しかったのに、 次の土曜日に遊園地に行こうとすると、 兄ちゃんも直哉兄ちゃんも一緒に付いてきていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

213人が本棚に入れています
本棚に追加