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典史兄ちゃんの羽は、
最強の結界で悪意のある者は、何であっても近寄れない。
でも、
悪意があればの限定がつく。
遮られてかのこちゃんは、
羽をどけて僕の前に来た。
「私が見えるのね」
典史兄ちゃんが、
気配で分かったのか、頭を抱えた。
「俺、自分の結界内なら多少は分かるの。
君、死んでいるよね。
座敷童子でも、
俺、一穂に近づく霊は消すよ」
典史兄ちゃんは、僕も羽で囲んだ。
ふわふわしていて温かい。
実体化していなくても、
羽はとてもやさしい。
「ママが大好きなの。
ママとずっと一緒に居られたらいいけど、
ママが泣くとすごく悲しい。
ママを幸せにしたいの」
かのこちゃんの気持ちは、
すごく良く分かる。
幸せにしたいのに、
どうして泣いていてもどうにもできないのだろう。
僕もいつももどかしい。
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